初心者向けかんたん物流コラム
収益増や生産性向上など多くのメリットをもたらすDX。ニューノーマルへの対応やSDGsへの取り組みも欠かせない社会にあってはDXに取り組むべき理由もどんどんと増えてきた印象です。
ただ、日本の場合、複数の課題がDX推進を阻む壁として存在しているのも事実であり、それらの課題がDX推進を難しくしています。
当記事では、日本の企業の多くで見られる3つの課題をピックアップすると共に、課題解決へのアプローチについても紹介していきます。DX推進の際のご参考になりましたら幸いです。
日本の多くの企業が、DXを推進する上で大きな課題として抱えてしまっているのがレガシーシステムの存在です。
レガシーシステムは過去の技術で構築されたシステムのことを指す言葉なのですが、このレガシーシステムが今でも多くの日本企業に残っており、経済産業省のレポートでは、日本の大企業の8割以上にレガシーシステムが存在しているとしています。
ではなぜレガシーシステムがDX推進を妨げてしまうのか。ここですよね。
理由はレガシーシステムが存在することで、保守運用に多くのコストや労力がかかったり、さらには新しいシステムとの連携も難しかったりするからです。新しいシステムを導入してDXを推進しようにも、レガシーシステムの存在が大きな足かせになってしまっているのです。
レガシーシステムは、法改正や時代のニーズの移り変わりなどで仕組みが複雑になってしまっていたり、ベンダーの当時の担当者がもう退職しまっていて中身がブラックボックスになっていたりということが、事をややこしくしています。
そのため、保守運用やメンテナンス、改修などをベンダーに依頼するとしても、容易ではないために大きなコストや労力がかかってくるのです。
近年では、業務効率化やコスト削減、保守運用など社内向けのIT投資を「守りのIT投資」、製品・サービスの開発強化やマーケット分析強化など対マーケットを意識したIT投資を「攻めのIT投資」と呼ばれることがありますが、日本の企業の多くが守りのIT投資に多くのリソースを割いており、「攻めのIT投資」に注力することが難しくなっている状況があります。
経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0」の序文には、
「今後、DXを実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である。」
と書かれており、つまりDX推進にはビジョンや経営戦略を明確にすることや、それに伴うガイドラインの策定、体制づくりなどが重要になります。しかしながら現実は、明確なビジョンが打ち出せないまま、ビジョンが浸透しないまま、ガイドラインや体制が不完全なままDXへの動きをとってしまう企業も少なくないようです。
第一にビジョンが明確化しないと、全社横断的なDXは難しいですし、単なるデジタル化で終わってしまうかもしれません。最悪の場合、また新たなレガシーシステムを生んでしまうことも可能性として考えられます。
DX推進を成功に導くためには、経営トップの強いリーダーシップが必要です。
日本は、IT人材が圧倒的に不足しています。少子高齢化による労働力人口の減少などで、IT需要の急激な高まりにIT人材の供給が追いついていないのが現状です。
経済産業省の調査によると、2018年で22万人の不足、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測しているほどです。
そのため、日本ではIT人材が社内で充足しているという企業は多くなく、DXを推進しようにもIT人材を適切に配置した体制がつくれない、ノウハウが蓄積していかないという場合があります。
日本においてはIT人材の7割がベンダー側にいるとされており、企業側には3割。ちなみにアメリカはこの逆で企業側に7割のIT人材がいるとされています。
日本では、新たにシステムを導入・運用したり、既存システムを含めて見直しを図ったりと、DX推進をするにもベンダーに依存してしまう傾向が強くなってしまっているのが現状です。
レガシーシステムの存在が課題としてある場合は、徐々にクラウドへ移行していくのが賢明です。
もちろん闇雲になんでもかんでもクラウドへ移行していくということではありません。使わなくなった機能は省くなど機能の取捨選択をしていきながら移行していきます。
基本的には、変更が多かったり、保守運用に手間がかかったりと負担の大きくなっているシステムからクラウドへ移行していきます。クラウド化することで徐々に技術的負債から解き放たれ、攻めのIT投資へと転ずることができるようになっていくのです。
経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、システム再構築時の機能の状態について「頻繁に変更が発生する機能」「変更されたり、新たに必要な機能」「肥大化したシステムの中に不要な機能」「あまり更新が発生しない機能」というように4分類を提示しており、それぞれの取り扱い方を示しています。
経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-2.pdf
DXはビジョンや経営戦略を明確にすることから始まります。
最近はDXという言葉がトレンドワード化しているため、「競合他社に後れを取らないように・・・」と焦ってしまいがちですが、特に「自社にとってなんのためのDXなのか」を明確にしないまま走ってしまうとゴールの無い業務にひたすら取り組むことになってしまいます。
他社のDXの成功事例に目がくらみ、ぼんやりとしたDX像がゴールとなってしまうことは避けたいところです。
そしてDXは、現場を巻き込みながら全社共通認識のもと行う中長期的な取り組みになりますので、ビジョンや経営戦略を明確にするにはやはり経営トップや経営層が主体となる必要があります。
ビジョンや経営戦略について、外部のコンサルタントが加わるような場合でも経営トップや経営層の強いコミットメントは欠かせません。
DXを妨げる課題3で前述しましたように、日本の企業の多くではIT人材が不足しています。そのため「DXを推進しようにもIT人材を適切に配置した体制づくりができなくて困っている」という企業は少なくないはずです。
この課題の解決にはIT人材を採用するか、社内の人材を育成するか、どちらかの方策をとる必要がありますが、その際、教育制度や評価基準の見直しを図ることがポイントとなります。
IT技術は進化のスピードが早く、システムの運用技術も複雑化しているため、学習の機会が得られなければ対応が難しくなってきてしまうからです。また、エンジニアの離職を防ぐためには専門性を適正に評価できる仕組みも必要です。
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