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特定技能に「運送業」が追加!概要・背景・受け入れ企業の必要要件


2024年3月、特定技能に「運送業」が追加されることが決定しました。これにより、来年以降、特定技能資格を取得した外国人ドライバーの受け入れがはじまります。

特定技能制度は人手不足が課題である運送業界にとって一筋の光となり得るのでしょうか。

運送業分野における特定技能の概要や、特定技能に自動車運送業分野が追加された背景などについて解説していきます。

※2024年10月25日時点の情報を基に記事を作成しております。
※特定技能対象分野に追加された自動車運送業分野はトラック・バス・タクシーを合わせた分野のことを指しますが、当記事は主にトラック運送事業者向けの内容となっています。



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2024年3月 特定技能に「運送業」が追加決定



2024年3月、特定技能対象分野に「自動車運送業分野(トラック・バス・タクシーを合わせた分野)」が追加されることが閣議決定されました。これにより、政府は、2024年度からの向こう5年間で2万4500人の外国人ドライバーを受け入れることを想定しているとしています。

2万4500人という数は、DXによる生産性向上や労働環境整備による国内人材の確保を図る取り組みをしてもなお不足するであろうとされている労働力の数となります。つまり、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ってもなお不足する労働力を特定技能人材で補うことを意味しています。


【POINT】

  • 自動車運送業分野において、今後5年間で合計28万8000人程度(トラック運送業:19万9,000人程度、タクシー運送業:6万7,000人程度、バス運送業:2万2,000人程度)の労働力が不足。
  • DXによる生産性向上(5年間で14万3,000人程度)や労働環境整備による国内人材の確保を図る取り組み(5年間で12万1,000人程度)をしても足りない。

不足する労働力(2万4000人程度)を特定技能人材で補う


特定技能とは?


特定技能とは、人材確保が困難な分野を対象に、一定の技能を有した即戦力となる外国人を受け入れ、人手不足を補うことを目的に創設された制度です。

2019年4月から制度が開始し、これまで受け入れた外国人は計約21万人を数えます。分野別では飲料製品製造業が最も多く、国籍別ではベトナムが最も多くなっています(2023年12月末時点)。

また、特定技能には特定技能1号と特定技能2号が用意されており、今回、「自動車運送業分野」が追加されたのは特定技能1号です。1号と2号とでそれぞれ、外国人に求められる技能水準や認められる在留期間が異なり、特定技能1号は業務を行う上での相当程度の技能を有した外国人が対象で在留期間は通算5年、2号はより熟練した技能を有した外国人が対象で在留期間は実質無期限となります。


特定技能と技能実習の違い


「特定技能」と混同しやすい在留資格に「技能実習」というものがあります。技能実習は、日本の産業における技能や知識を習得したいとする外国人を受け入れ、母国でその技術を広めてもらうことを目的とした、いわば国際貢献を目的に創設された制度です。

一方、特定技能は特定分野における人手不足を補うことを目的としています。つまり、特定技能と技能実習は別制度であり、外国人を受け入れるというスタートは同じでもゴールが全く異なるものとなります。これに伴い、特定技能と技能実習では働き方や作業内容なども異なっています。

なお、技能実習に自動車運送業分野は含まれていません。

※今後、技能実習制度は廃止され、代わりの制度として就労育成制度が2027年6月までに開始されることが決定しています。


特定技能に「運送業」が追加された背景


特定技能に「運送業」が追加された背景に大きくあるのは、2024年問題です。もとよりトラックをはじめとした運送業界はドライバー不足が喫緊の課題ですが、2024年問題が拍車をかける格好となってしまっています。前述しましたように、運送業界全体では今後5年間で合計28万8000人程度の労働力が不足するという試算結果も出ています。

さらに日本は世界に類を見ないほどのスピードで少子高齢化が進んでいます。労働集約型の産業である運送業界にとってはマイナス要素であり、2024年問題、少子高齢化による生産年齢人口の減少と、まさに二重苦の状態です。

ここにきて、運送業界の人手不足への対応として、行政から施策が次々と打ち出されていますが、特定技能追加はその一つであり、ドライバー需要の不足分が補われていくことに期待がかかります。

【関連記事】
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受け入れ企業の必要要件


特定技能における自動車運送業分野の外国人人材を受け入れる企業は、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していることなどの基本的な全分野共通の要件に加え、以下のような自動車運送業分野特有の要件も満たす必要があります。

以下文章中、
「特定技能所属機関」=「特定技能人材を受け入れる事業者」のこと。
「運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者」=「働きやすい職場認証を取得している事業者」のこと。
「安全性優良事業所を有する者」=「Gマーク認定を取得している事業所」のこと。
「登録支援機関」=「特定技能人材の支援業務を事業者の代わりに行う機関」のこと。

  1. 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
  2. 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
  3. 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  4. 特定技能所属機関は、道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であること。
  5. 特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会(明治32年11月15日に帝国海事協会という名称で設置された法人をいう。)が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第43条に規定する全国貨物自動車運送適正化事業実施機関をいう。)が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
  6. タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
  7. 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
出典:国土交通省「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

特定技能取得に際しての必要要件


外国人が自動車運送業分野の特定技能資格を取得するためには、年齢が18歳以上であることや健康状態が良好であることなどの基本的な要件に加え、下表のように自動車運送業分野特定技能1号評価試験や日本語能力試験の合格なども必須となります。トラックの場合、日本の第一種運転免許の取得も必須です。


出典:国土交通省「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」


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トラック協会では「特定技能外国人受け入れの手引き」を公開中


公益社団法人全日本トラック協会の公式サイトでは、「特定技能外国人受け入れの手引き」を公開しています。特定技能人材の受け入れの流れや注意事項などが、トラック運送事業者の観点で詳しく解説されています。特定技能に関する全体像の把握におすすめの資料です。

公益社団法人全日本トラック協会「特定技能外国人受け入れの手引き」


第1回試験は24年度中の実施が見込まれている


特定技能資格の取得に際しては特定技能評価試験の合格が必須であり、試験が行われないまでは、事業者は人材の受け入れができないわけですが、2024年10月25日時点で特定技能評価試験がいつ頃実施されるかというのは具体的には明らかとなっていません。

ただ、24年度中には実施されることが見込まれています。実施時期が決まり次第、一般財団法人日本海事協会の公式サイト上で発表されるとのことです。

一般財団法人日本海事協会「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」


外国人ドライバーへの期待が高まる一方、取り組むべき課題もあり?


制度の実運用がはじまる2025年以降、特定技能資格を取得した外国人ドライバーの活躍に期待がかかります。しかしながら、言葉の壁や文化の違い、運送業界特有の商習慣への対応など、難しい課題があるのも事実です。 今後、制度が浸透するかどうかは予測できない部分がありますが、早速、受け入れに向けて動き出している企業もあるようです。果たして、外国人ドライバーが行き交う日は来るのでしょうか。


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