初心者向けかんたん物流コラム
運送会社の要ともいうべき存在、それが配車係です。運送会社の売上は配車係次第と言ってもいいほど非常に大きな役割を担っています。配車係が担う役割や業務内容、さらには必要な資格などについて、ご紹介していきたいと思います。
※配車係はタクシー会社やバス会社にも配置されるポジションですが、当記事は運送会社の配車係に焦点をあてた内容となっています。
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配車係とは、自社が請け負った配送の仕事をドライバーに割り振っていく業務を行う担当者のことです。配車マンとも呼ばれます。
配車係は、トラックなど事業用自動車を使って配送業務や輸送業務を行う事業者には不可欠なポジションであり、同時に事業者の経営をも左右するような重要なポジションでもあります。
配車係が、どのドライバーにどの荷物を運んでもらうのか、どのようなルートで配送先を回っていくのか、というのを決めていく(これを配車計画と言います)のですが、このような計画次第で売上額や利益額が変わってきてしまうからです。そのため、配車係には十分な経験とノウハウが必要となります。
また、業務上、土地勘や道路事情に詳しいことや、さらにはドライバーとのやり取りが多くなるためドライバーへの配慮ができることなども配車係には重要です。このようなことから、運送会社の配車係には、土地勘や道路事情、さらにはドライバーの働き方や心情などを知っている元ドライバーが起用される傾向にあります。
【配車計画(配送計画)について詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめです】
【配送計画の最適化】かんたん解説!おすすめシステムも紹介
配車係が行う業務としては、以下のようなものが挙げられます。
ただ、会社によって配車係が行う業務の範疇は異なりますので、その点ご了承ください。
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この記事をご覧いただいているということは、グーグルなどのWEB検索を使ってこの記事にたどり着いたという方も多いと思います。その際、あることに気づきませんでしたか?「配車係」でWEB検索をすると、やたら検索候補にネガティブな言葉が出てくるんです。
検索窓に「配車係」と打ち込んで検索した後、さらに検索窓をクリックすると「きつい」「辛い」「辞めたい」などの言葉が出てくるかと思います。
検索候補は検索エンジン側がメインのキーワードと一緒に多く検索されるキーワードを自動で提案してくるものなので、それだけ多くのネガティブな言葉が検索されているということになります。なぜでしょうか?
恐らくは、責任やプレッシャーが大きくかかってしまうこと、さらには経営者とドライバー、あるいは荷主とドライバーの板挟みになってしまうことが要因にあるのではないかと思います。
配車係が行う業務は経営を左右するような業務でもありますし、荷主とドライバーと経営者の三方に配慮する必要のある難しい側面のある業務でもあります。向き不向きが顕著に出やすい職種と言えるかもしれません。
前の見出しでは、配車係のネガティブな部分の紹介ばかりになってしまったので、次はポジティブな面、配車係のやりがいに焦点をあてていきたいと思います。
まずやりがいとして挙げられるのは、荷主から直接感謝の言葉をいただけるという点です。すべての会社がそうとは言い切れませんが、配車係は会社の窓口役であることが多いので、荷主を助けるような、期待に大きく応えるような仕事ができた時にはきっと感謝の言葉があるはずです。これは配車係の一つの特権とも言えるでしょう。
それから、配車係として実績や経験を重ねれば幹部への昇進があるのもやりがいにつながるものとして挙げられます。配車係は運送会社の根幹をなす業務となるので、幹部への昇進、あるいは独立を視野に入れている方であれば独立への道も開けてくるでしょう。
配車係の業務は一筋縄ではいかない苦労の多い業務ではありますが、逆に言えばその分、大きなやりがいや達成感が得られるというものです。運送会社の要となる職種であり、誰でもできる仕事ではないからこそ、感じられるやりがいがあるはずです。
配車係に資格は必要ありません。しかしながら、運送会社では運行管理者が配車係を兼ねているというケースが良くあります。
理由として一つには、配車を組む際に運行管理者の知識が絶対的に必要になるからというのがあるかと思います。
運行管理者は国家資格であり、トラックなど事業用自動車による運行が安全になされるよう管理する者のことなのですが、運行管理者は、トラック運行時の事故防止やドライバーの健康管理などに関わる知識を習得します。このような知識が配車を組む際に不可欠なのです。
また、運行管理者は、車両台数が1〜29台の事業者でも最低一人は専任しなければならない決まりがあります。小規模事業者が多くかつ人材不足が顕著である運送業界では、運行管理者が配車係を兼務せざるを得ない状況があるというのも一つでしょう。
配車係は、「向き不向きが顕著に出やすい職種と言えるかもしれません。」と前述しました。では、どのような人が配車係に向いているのでしょうか?
配車係は、ドライバーや荷主など様々な人と数多くコミュニケーションをとらなければならない職種です。そのため、コミュニケーション能力に長けている・自信があるという人は配車係に向いていると言えるでしょう。
配車係は特にドライバーに計画通り指示通りに動いてもらわなければ始まらない仕事です。コミュニケーションが上手く取れず思い違いなどがあれば元も子もありません。
また、場合によっては荷主からの急な変更や、はたまたトラブルなどでドライバーに無理を言わなければならない状況に出くわすこともあるでしょう。日々気持ちよく仕事をしてもらうためにも、イレギュラーな状況に対応してもらうためにも、普段からドライバーとコミュニケーションをとり信頼関係を構築しておくことも重要になります。
配車係の核となる業務である配車計画の作成業務は、いかに制約・条件を考慮しながら効率の良い配車を組んでいくかということがポイントになります。そのため、論理的思考を得意としている人は配車係に向いています。
ただ、近年はこの論理的思考を用いて配車を組むという作業を自動やってくれる自動配車システムというものを導入する運送会社も徐々に増えてきています。自動配車システムを使用する運送会社の場合は、あまり捉われなくても良いでしょう。
配車係は判断に迫られる場面の多い職種です。配車業務はじめ、トラブルやイレギュラーなど様々な不測の事態に出くわした際にも現場の状況を冷静に判断し最善策を講じなければなりません。そのため、判断力が必要です。
また、荷主とやりとりをする際でも、ドライバーとやりとりをする際でも、すべての要望を受け入れることは不可能です。このような場面でも要望や意見を取捨選択する判断力が必要となってきます。判断力に自信のある人は、配車係の業務においてその能力がアドバンテージとなるでしょう。
配車係の年収ですが、相場感としてはドライバーよりも若干高いくらいでしょう。会社の規模や業務の範疇などによってまちまちですので、一概には言えないところでもあります。
配車係は運送会社の要となるポジションです。配車係の采配次第で、会社の売上額やドライバーの働き方は大きく変わります。
それだけに配車係にかかる責任やプレッシャーは少なくありませんが、多くのやりがいや達成感を得られるのも配車係です。配車係として実績や経験を重ねれば幹部への昇進も見えてきます。