ロジスティクスAI 戦略のポイント
From:朴成浩
先週、ポケモンGOを取り上げたらマズイことになりました・・・。
社内でめっちゃ流行ってる!?
いや、トップが関心を持ったテーマにメンバー全員が自発的に取り組んでくれる、大変に素晴らしい話ではあります。
が!
実は私はポケモンGO全くやっていないんです(苦笑)
ということで、あまりポケモンばかり追うとうちの会社がゲーム会社になりかねないので、
今日は懲りずに
「ドラゴンボールに学ぶ歩きスマホの危険性」
という話をしましょう。
なぜドラゴンボールかと言うと、アレです。あの変な眼鏡だかゴーグルだかみたいなヤツ、スカウターです。
あのゴーグルをかけて他人を見ると、その人の戦闘力が横に表示されるというヤツですね。
私はいつも、ああいうの欲しいな、と思っています。さすがに戦闘力には興味ありませんが、人の顔を見た瞬間に、眼鏡の端にパッと名前が浮かんだり、所属が浮かんだりしたら素晴らしいと思いませんか?
というのは、私は人の名前を覚えるのがかなり苦手なんです実は。
決して記憶力が悪い方とは思わないのですが、どうも顔と名前のマッチングが苦手なんですよね。というのは、田中さんのお名前が田中さんである必然性ってないじゃないですか? こういう脈絡のない情報を覚えるのがどうにも苦手なようです。
ただ、不思議なことに歴史上の人物とか、そういうのは割に楽に覚えられます。世界史とかはなにげに得意科目だったりしました。教科書に出てくる「人」というのは、最初から最後まで文字情報なんですよね。
つまり、ただ教科書を覚えるだけなら、現実の世界と抽象的な世界を関連づける必要性はないわけです。物事は全て文字列処理の世界で完結できることになります。美しきプラトンの世界ですね。
さて、話をスカウターに戻しましょう。
マンガの世界では、スカウターを装着した悪者たちは、目の前の主人公たちのリアルな実力には気付かず、スカウターの戦闘力だけを頼りに判断してやられていくわけです。
これはもちろん、物語的にはお約束な流れではあるのですが、結構、人間の本質的な特徴を表しているように思います。
リアルと非リアル、もっといえば、異なる次元に属する複層的な情報を統合して処理することは、人間にとっては非常に苦手な部類のタスクであるように思います。
スカウターみたいな便利な「眼鏡」を提供されると、眼鏡の提供する情報しか目に入らなくなるか、あるいは全く逆に眼鏡を捨ててしまう。全く質の異なる複層的な情報が提示された場合、我々はどれか単一の層の情報を支配的な判断基準としがちです。
たとえば、会社選び。あるいは結婚相手探し。どうでしょうか? こういう人生の選択において、最初の熱狂が過ぎた後に「何でこんな選択をしてしまったんだろうか!」と後悔した経験は誰しもあると思います。
こうした選択において、そのときはパッとしない意見に思えても、長い目で見れば、経験豊かな第三者のアドバイスが適切であることが多いのは、そういう理由もあるのでしょう。こういう複層的な情報を統合して判断する、ということを人間が上手にやるためには訓練が必要になります。
そこまで大げさな話でなくても、歩きスマホの事故の多いことを見ても、人間の認識がいかに単一のレイヤーに支配されやすいか、ということがよく分かります。スマホの世界に入ってしまうと、文字通り、「世界が見えなく」なってしまうのですね。
さて、現代では現実世界をより賢く把握するために、様々なデジタル情報が次から次へと提供されているわけですが、逆説的ですが、こういう状況はかえって混乱を生んでいるように感じられている方も多いかと思います。
こうした状況において、AIにはもう一つ、新しい役割が求められるようになると思います。
あなたの判断を全面的に肩代わりするのではなく、あなたが苦手な種類の情報処理を適切に行い、正しい判断ができるようにあなたの新しい目となってくれる。私たちは、そんなシステムも形にしてみたいと考えています。
++朴成浩