初心者向けかんたん物流コラム
かほさんにお越しいただきお話を伺いました。かほさんは「トラックドライバーは天職」だと語る現役のトラックドライバーです。
2t車3年の乗務経験を経て、現在は4t車のドライバーとして活躍されています。また、ユーチューバーとしての顔も持ち、人気動画は約100万回再生に迫る勢い。そんなかほさんに、仕事や給料のこと、理想の働き方や会社像などについて伺いました。
※当記事は、株式会社ライナロジクスが運営しているYouTubeチャンネル「物流ナビ」で公開中の動画「運送業の実態を現役トラックドライバーに聞いてみた」の内容を基にしています。
【物流ナビ 司会】平野 貴規(以下、平野)
【ゲスト】現役トラックドライバー かほさん(以下、かほ)
平野:皆さんこんにちは。物流ナビの平野です。
今日は「2tトラックドライバーの実態とは」というテーマで、かほさんにお越しいただいております。
簡単に自己紹介をしていただいてもよろしいですか?
かほ:今はトラックドライバーをしているかほです。
仕事は凄く楽しく天職だと思ってやらせてもらっています。よろしくお願いします。
平野:
よろしくお願いします。
平野:早速少し質問をさせていただきたいなと思うんですけれども、今はどういうお仕事に携わられているんですか?
かほ:今は4t車に乗って1年ぐらいなんですけど。
平野:結構大きいですよね。
かほ:4tは2tと大型の間ぐらいなんですけど、その前は2tのドライバーを3年間ぐらいやっていて、長距離とかではなくて地場でやっている感じです。
平野:地場輸送をされているんですね?
かほ:はい。
平野:どういったものを運ぶことが多いんですか?
かほ:運ぶ物といえば色々あるんですよ。一般的なものです。冷凍車とかではないんですけど。
平野:荷積みとかもされるんですか?
かほ:もちろん荷積みはします。
平野:荷積みをセンターでして配送先にご自身でトラックを運転して、またトラックから荷物を出して入れるみたいな感じなんですね。その荷物はパレットで入ってくる感じですか?
かほ:それも色々でパレットを自分で作って運ぶ場合もあるし、バラで運ぶ場合もある感じですね。
平野:トラック業界では「パレットを使いましょう」みたいになっていますけど、やはりまだ手で運んでいるんですね?
かほ:大型だと結構パレットで運ぶことも多いかもしれないですけど、パレットで運べる仕事もあればパレット分がもったいないからバラで積む仕事もあると思います。
平野:荷物が崩れてはいけないから逆に手で運ぶ感じですか?
かほ:凄く小さい荷物から凄く大きな荷物や、形も様々だったりするので、どうしてもパレットで積んだら箱の容積をちゃんと使えない感じになる荷物も結構あると思うので、全体でパレットを使っていくのは難しいと思います。
平野:女性でパレットなしで運ぶことは結構大変ではないですか?
かほ:大変な仕事は、あります。
平野:一般的な契約内容では、「運転業務」のみに業務が限定されているケースが多いのかと思いますが、そこまでやらないといけないのは荷主さんからのお願いで積まれる感じですか?
かほ:それが私は当たり前だと思っていたから、自分で荷物の積み込みをして持って行って納品するところまで。少し過剰サービスではないですけど、そういうのあるなとは思うんですけど、荷物を積んで運んで降ろすということが、それがドライバーの仕事だと思っています。
平野:時間指定は結構厳しいですか?
かほ:荷物によって時間指定もありますし、時間指定がない荷物もあります。
平野:荷待ち時間もありますか?
かほ:荷待ち時間があることもあります。絶対に遅れないように交通状況とかも含めて遅れないように凄く早く着いて待ってたりとかもあります。
平野:この動画を17時に撮っているんですけど、今日もピッタリでしたね。
かほ:そうです。ギリギリでダッシュしました(笑)
平野:なので普段合わせられているので、本当に17時ピッタリに来ているので、さすがドライバーさんだと思いました(笑)
平野:そうするとそういう感じの毎日だと思いますが、1日のスケジュールはどういう感じになっていますか?
かほ:私は結構夜中に働いてて日付が変わるぐらいから仕事をしているんですけど、朝一に荷物を届ける仕事だったりするので、夜中に荷物を積んで早めに現場の近くや配達先の近くに行って少し休憩して、朝は毎日同じ時間に荷物を下ろしたり、または朝から積み込みをしてそれから何件か回る仕事とか色々あるんですけど、そういう仕事をしてます。メインは深夜に働いています。
平野:眠くならないですか?
かほ:毎日ほとんどトラックで寝ているので眠いとかはあまりないです。
平野:そうすると1日は何時間ぐらい働いていることになるんですか?
かほ:1日は様々なんですけど短ければ短いし、4時間で終わる時もありますし、長ければ14~15時間の時もありますが、フルでずっと14時間はないです。絶対に2時間とか休憩はあります。仕事によって様々です。
平野:結構長い時間働いていても苦にならないって運転することが結構好きみたいな感じですか?
かほ:運転が好きですし仕事が楽しいから、私は暇疲れとかの方が嫌いで何かしていたいタイプなので。だから常に運転もしているし積み込みもしているし、何かしているじゃないですか、 休憩の時間は自分の時間だから良いとして、凄く時間が過ぎるのは早い。
平野:毎日苦にならずにそれだけ働いてるのはすごいなという風な感じですが、そもそもドライバーさんになった理由は何ですか?
かほ:免許を取っていない時からトラックドライバーをやってみたいと思っていて。仕事とか関係ない時からトラックドライバーは格好良いと思っていました。
大きい車を運転しているお姉さんやお兄さんがは格好良いと思っていたんですけど、その仕事がしたいとかはあまり思っていなくて、でもいざ自分が就職するとなった時にやりたいことが何かあるかといったら、美容系や女の人がやりそうな仕事はあまり私はその時興味がなくて、やはり車の運転がうまくなりたいという理由と運動とかが好きだったりするので、それでトラックドライバーをやってみたいなと思って始めました。
平野:友人では少ないですか?トラックドライバーになりたいみたいな。
かほ:いないです。私だけです。
平野:その中ですごいなと思います。実際はやりたいと思っていてもやらない方が多いですし、よっぽど何かあったのかなと思いますね。 働いている会社さんの中でも女性はやはり少ないですか?
かほ:少ないです。最初に入った時はドライバーが私しかいなくて、今は2人ぐらいいるんですけど、大体皆さん男性の人です。
平野:女性が増えると楽しいですよね?
かほ:嬉しいですね。
平野:大変なお仕事だと思うのでなかなかいないかもしれないですが、若い方が多いですか?
かほ:年齢的には全然幅広くいます。
平野:男性が多いですが、年齢層としては男性はやはりご高齢の方が多いですか?
かほ:平均は40代ぐらいだと思います。
平野:年配の方と一緒に働いているところの苦労はそんなにないですか?可愛がってもらえる感じですか?
かほ:結構年の差がすごいので、下手したらお父さんみたいな感じなので、逆に凄く仲良くなれるというか私も話しやすいし、年配の方も可愛がって面倒を見てくれるので仕事はやりやすいし楽しいですね。
平野:今4t車に乗り始められていて、今後の目標みたいなドライバーとしての目標でもいいですし仕事をしていく中での目標はありますか?
かほ:そこがまだ決まっていなく、以前は最終的に大型トラックに乗れれば良いなと思っていたのですが、今はまだ4tに乗っているので大型は無理なのかもな?と思ってきました。4tは本当に大きいので。なのでまだ全然決まっていないんですけど。
給料的にも大型と4tでどちらが稼げるかと言ったら絶対大型が稼げるとかでもないと思うんですよ。だからそう考えたら私は給料が優先と思ってしまうし、自分の生活で結婚して子供産むとかも考えたら明確にはまだ決まっていないです。とりあえず今は目の前にあることをこなしている感じです。
平野:お給料の話というのは周りの方のトラックドライバーさんはどのくらいの幅ですか?20代だとこんな感じなのではないかみたいな。
かほ:知り合いとかあんまりないからそういう話をすることがないですが、SNSとかを見ていたりすると、聞いたことある話とかによると、本当に低い人は手取り17〜18万円とか、それぐらい低いのは聞いたことがあります。
平野:それだとドライバーさんの給料は基本給が凄く少なくて、実際は成果給と言って走って残業代でお給料をたくさんもらっているケースが多いように思いますが、一般的にはそんな感じですか?
かほ:それが多いと思います。中には日給や時給でもらえる話を聞いたことがありますが、仕事した分だけというのが多いと思います。
平野:基本給が少なくてやはり走らないと給料がもらえないところがあるのかもしれないですよね。
平野:そうするとトラックの業界の中でもそうだと思いますが、働き方改革を進めていこうみたいな。
労働時間を短くしようというのが社会的に出てきている中では賛否があると思っていて、もちろん健康は凄く大事なので睡眠時間をとっていただきたいですが、給料をやはりたくさんもらいたいという方もいると思います。そうすると労働時間が削減されてしまうと給料を稼ぐ機会がなくなっていくというところもあると思うので。
それはかほさん的にはどうですか?
かほ:逆に私は働き方改革やちゃんとしている会社が良くて。仕事でしか生きていきたくなくて、休みとか欲しい派なので、労働時間が短くなるのは時間だけのことを考えたら凄く嬉しいです。
平野:かほさん的にはドライバーさんも一生懸命やりたいんですけど、今はこういう風に出ていただいたりとかそういった活動も含めて充実させたいということですか?
かほ:趣味も大切にしていきたいしやはり仕事だけやっていても楽しいですけど、やはり自分の時間は生きていく上で大切だし、私の人生はこちらの方が良いなと思ったので、そういう改革をしっかりしていくほうが良いと思います。
平野:2024年問題の労働時間の問題については、国は働き方を良くしようと思っている方もいると思うんですね。
ただTwitterとかを僕も見ていると、「ドライバーさんの実態を分かっていないのではないか?」とか、「ドライバーさんにとっては良くない制度なのではないか?」ということが。
かほ:稼げなくなるということですよね。
平野:そういう風に言う方も多いので今日は聞いてみたいなと思いました。若い方で特に女性で志がある方がどのように思っているのか。
平野:稼げなくなると言われると少し困ります。どこかの会社は働き方改革になるから、時間が減って給料が稼げなくなるから給料が上がるみたいな。
そういうことをちゃんとやってくれるところであれば良いのかなと思いますし、でもみんながそれができるわけでもないから根本的な問題が色々変わっていかないとどんどんドライバーの肩身が狭くなってくる感じなので、本当に難しいですよね。
かほ:なので整えていくことが凄く大事だと今のお話を聞いていて思いました。周りのドライバーさんは逆にどうですか?
平野:周りのドライバーさんはそういうことについて話すことがないです。
かほ:一人で仕事してる時間が多いので話す機会がないかもしれないですね。
平野:全く喋らない訳でもないですけど、「2024年はやばいね」みたいな会話にもならないし、そもそも2024年に守らなくてはいけない時間を守れている人も中にはいると思うし、だからあまり話をしたことがないです。Twitterとかで見たことしか、私も分からないです。
かほ:Twitterとかでは結構辛辣なことが書かれていますよね。
平野:かほさん的に現場のあるある問題はありますか?
かほ:よく聞くのはトイレです。私はあまり思わないですけど、長距離の人とかがよく言っているのは、女性のトイレがないとか。
あとは休憩を取らないといけないじゃないですか。それでサービスエリアが満車で路駐をしていたらダメだし、そこの問題があります。
平野:先ほどの荷主さんのお話だと例えば倉庫に入れる時間を守ってくれという話をされるので、ドライバーさんとしては遅れるわけにいかない、なるべく早く着いておこう、そうすると時間を守らないといけないので路駐をせざるを得なくなってくるということですよね。
かほ:色々あると思うんですけど。やはり大型で入れるコンビニも限られていると思いますし、駐車スペースをもっと増やしてほしいです。
平野:なのでサービスエリアでも一般の方がトラックドライバーさんのスペースに止めていることもありますし、トラックステーションをやはり増やすとかそういうことは凄く大事なことかもしれないですね。
他にも問題はありますか?「こうなったら良いのに」みたいなところも含めてですが。
かほ:もっと給料が上がってほしい。みんなが言うのは「運賃を上げないといけないんじゃないの?」とよくSNSで見たりしますが、経験も浅いしそんな偉そうなことは言えないんですけど運賃を上げないと改革が始まらない気がします。
平野:荷主さんからの運賃の引き上げが、賃上げがなかなかできないということがあって、ドライバーさんに皺寄せがいっている状況だと思うんですけど、実際に大手でも荷物が運べなくなっているそうです。
運べなくなっているんですけど僕らのところに荷物が届くじゃないですか。「何で届くんですか?」という話をしていたら水屋(利用運送業者)さんが取引先やフリーランスのドライバーさんに仕事をふっていくみたいな。なので会社員の方の労働時間を下げなきゃいけないのでフリーランスの方に凄く皺寄せがいくみたいなそんな感じになっているということもありますね。ただフリーランスまでなってやるかどうかという大変さもあるので、やはり会社さんのドライバーさんでそれなりの給料がちゃんともらえる状態を作っていかなければいけないし、だんだんそうなってくると思います。
荷主側も自分たちの荷物が届かなくなるという可能性が高いことにそろそろ気づき始めていて、自分たちの作ったものがちゃんと届かないとやはり嫌だし、ちゃんとした運送会社さんに運んでほしいみたいな感じになってくるので少しずつ賃上げの話が出てくると良いなと思います。
平野:ライナロジクスという会社は配車のAIツールということで配車の計画を自動化するシステムを提供していますが、現場で仕事をされている中で非効率だと思われることは何かありますか?例えば配送の指示書をもらうと思うんですけど、これを例えばiPadやiPhoneにしてくれたら良いのにみたいな。
かほ:紙なのでなくしてはいけないから大切に扱うのは当たり前ですが、それがもしiPadだったらデータだからiPadさえなくさなければ良いと思うので、確かにそれは凄く良いと思います。
平野:やはり紙が多いですか?
かほ:紙は多いです。やはり受領書や納品書も全部紙が多いですし、でもiPadだったら「iPadにサインしてください」ということですよね。
平野:iPadにサインするか、向こうも同じシステムになっていてお客さんが受領したらそこに記録が残るシステムだと凄く良いのかもしれないですね。 電話も多いですか?例えば納品したら電話しなくてはいけないとか。
かほ:着く前に電話することはあります。
平野:「今この辺まで来ました」と会社に電話をかけるみたいな?
かほ:「納品先に入っていいですか?」と聞いたりすることはあります。
平野:リアルタイムにトラックの位置が追跡できるシステムがもし入っていたら、荷主側がGPSで分かって、電話をしなくてもよくなりますね。紙や電話というのが少しずつITのシステムによってドライバーさんの負荷が軽減できると凄く良いと思います。完璧に全てができるとは思わないんですけど少しでもアシストできる状態になると凄く良いと思いますね。
平野:かほさんが今働いてる会社は凄く良い会社だと思いますが、さらにドライバーさんに選ばれるために会社はどういった取り組みをしていけば良いと思いますか?
かほ:でもやはり時代的に昔と今だと違うじゃないですか。
有給取るのに「理由は聞いたらダメ」とか、そういうことがあるじゃないですか。有給の取りやすさだとか、あとはちゃんとデジタコとかで時間を管理されていて、長時間労働がない会社とか。職場の雰囲気もやはり凄くみんながイライラしてるような会社じゃなくてみんなが楽しく笑っているような会社の方が本当にそうか分からないですけど、良い体制ではない会社の人でイライラしてる人が多いのかなと、私の勝手なイメージですけど、ちゃんとしている会社はみんなが笑って笑顔に過ごしているのかなみたいな、私のイメージ的にはそんな感じなので、みんなが快適に働けて文句なくというかお互いですけど、心地良い空間と働き方だと結果的にみんなが良くなると思います。
平野:そういう会社を作れるとかほさんみたいな方が採用できるかもしれませんね。
今日はかほさんにお話を伺ってきたんですけれども、先ほども話したように紙や電話やFAXなどを削減できればもっとドライバーさんの働き方が効率化されるという風に思っているので、弊社では自動配車システムやAIを使った配車の管理システム、効率化システムを提供しております。ぜひご興味がありましたら概要欄にリンクを貼っておきますのでそちらからお問い合わせしていただければと思います。またかほさんのチャンネルも概要欄に載せておきます。今後も出ていただけるのではないかと思いますので皆さん楽しみにしていてください。本日はありがとうございました。
かほ:ありがとうございました。