初心者向けかんたん物流コラム
弊社代表取締役 朴の出演回です。YouTubeチャンネルを開設した理由や物流業界への想い、自動配車システムの機能・メリットなどについて語っています。
【サマリー】
★人手不足が深刻化するのはこれから。物流業界は大きな変革期を迎えている。
★社会の変化を乗り越えていくために必要な情報を発信していきたいという考えから、YouTubeチャンネルを開設。
★自動配車システムとは、配送計画をコンピューターが自動で作ってくれるもの。
★自動配車システムは、土地勘や知見をもった配車マンと呼ばれる方々が行う配車業務を標準化させる効果が期待できる。
★ライナロジクスは、持続的かつ高いレベルの物流業が世の中に提供されていく、その力になることを目指す。
※当記事は、株式会社ライナロジクスが運営しているYouTubeチャンネル「物流ナビ」で公開中の動画「【ロジスティクス】なぜYouTubeを始めた?自動配車システム開発の想いと運送業の未来について」の内容を基にしています。
【物流ナビ 司会】平野 貴規(以下、平野)
【ゲスト】株式会社ライナロジクス 代表取締役 朴 成浩(以下、朴)
平野:皆様こんにちは、物流ナビの平野です。
今回はライナロジクスの朴社長にお越しいただきまして、このチャンネルの開設理由などについてお伺いしたいと思います。
平野:それでは朴社長、自己紹介をお願いします。
朴:株式会社ライナロジクス代表取締役の朴と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。
我々の会社は自動配車のライナということで知っていただいている方もいらっしゃるかと思います。配送計画を多くの会社様ではベテランの方が考えられていますが、これをコンピューターの方で「ポン」とボタン一発で作成できる、このような製品を提供している会社です。これを今はクラウドサービスとして展開しています。
平野:早速ご質問ですが、BtoBの自動配車システムを提供している会社がなぜYouTubeを始めようと思ったのか、ということを教えていただきたいです。
朴:日本の物流の環境が非常に大きな変革期を迎えていると。日本の物流に限らず社会全体の産業構造が変わるような大きな変革期にあるんですが、そうした中にあって我々の方で社会貢献といいますか、業界への貢献ということでできることはないかということで情報の発信をしていきたいなと思っているわけです。
朴:そこの変革期というところをご説明するために資料を用意しておりますが、これが日本の労働人口の推移になります。
朴:よく人手不足とか人口減少ということが言われていますが、こちらの表を見ていただくと分かりますように、総人口というところも緩やかに減っていますが、日本の生産年齢人口というもの、これは実は10年ぐらい前からも急激にどんどん減っています。年間でも80万人も減少しているという状況にあるわけです。
実際にそこまで今は人手不足かというと労働力人口が一番下にありますが、労働力人口自体は実はあまり減っていない、なんなら足元なら少し増えていると、こういう状況です。こうした時に誰が働いているのかというところがこちらのグラフになります。
朴:見ていただいたら分かりますように、高齢の労働者の方と女性の労働者の方がものすごい勢いで増えている。ですから生産年齢人口の落ち込みの部分を今まで労働をやっていなかった高齢者の方とか女性の方が働くということで補っているという状況にあります。
ところが先程のグラフをもう一度見ていただくと分かりますように15歳から64歳の生産年齢人口の部分がほぼ労働力人口とイコールになりつつあるような状況になっています。
朴:これ以上はいかに高齢者の方や女性の方などが増えても、そもそもの人口自体がいっぱいになっているのでこれ以上は労働力人口が増えていかないという状況にあるわけです。
物流の環境は人手不足と言われていますが、本当に人がいなくなってこれからどうしようかというような大変な状況になるのはこれからです。こうした環境にあたってそこをどうしようかと、今までと同じようなやり方で業界が継続をしていけないということは明らかな環境にありますので使えるものは何でも使って乗り越えていかなければいけないという状況にあるわけです。
我々は2000年に創業以来、この業界で長らく色々な物流事業者の方、あるいはドライバーの方など、色々な方々と交流を持っております。そうしたところで色々と提供できるように、これからの変化を乗り越えていくにあたって知らなくてはいけないこと、あるいはどうすればいいんだろうということですね、こうした情報を我々は提供していけるのではないかと思いまして、やってみようと考えた次第です。
平野:世の中に対して物流の話題を、労働人口が減少していく中でも重要だということを発信したいということですね。
平野:今のお話の中の自動配車システムについて、20年前から提供されているということですが、この自動配車システムが誕生したルーツについては東京大学の大学院で研究されていたものがルーツになっているかと思います。ここを少し詳しく当時を振り返ってご説明いただけますか?
朴:大学時代は物流というよりは ITといいますか、組み合わせ最適化という分野があるんですが、色々な人間の意思決定をコンピュータで判断する、こういう分野の研究をしておりました。
組み合わせ最適化問題で解決する問題は色んな問題があるんですけど、物流の分野の問題、まさに我々がやっている配送計画とか、あるいは拠点の最適立地とか、在庫を最適化していくとか、そうした物流の分野で幅広い応用を持っている分野ですのでそうしたきっかけがあり、物流の世界に入ってきたというところです。
平野:当時は2000年ということですが、経済状況はそんなに良くなかったと思います。その時に起業に踏み切られたという感じですか?
朴:正確に言えばITバブルが来て、凄く良くなってズドーンと落ちたというような、皆さんは覚えているか分からないですけど、光通信さんとかがもの凄く株価が伸びてその後暴落した、ちょうどそんな時代でした。
ただ、ITで何かやろうという機運は盛り上がっていて特にこの時代で日本が乗り遅れてしまったのは非常に残念だなと思ってるんですけど、2000年はAmazonが日本に上陸してきた年でもあります。ですから物流の分野の課題をITで解決をしていく、あるいはITの力でもっと多様な便利な物流サービスが提供していく、という機運は世界的には非常に高まっていた時代ではあります。
自動配車システムは輸配送業務を最適化するための計画をつくれるシステムです。効率よく輸配送業務を行うためには、効率よく輸配送業務を行うための計画が必要となるところ、その計画が自動でつくれてしまうというものです。輸配送業務の最適化に取り組む際は、ぜひご検討ください。
平野:なかなか実際に踏み切るのは大変だと思うのですが、 そこはやはりチャンスだと思われたということですか?
朴:正直何も考えていなかった(笑)というところがありますね。もともと私は大学で研究をしていたバックグラウンドなので、自分で会社をやろうかなというようなことはあまり考えていなかったんですね。ただ、この組み合わせ最適化というものを世の中の役に立てたい、特にこの物流の分野は非常に応用が広いので何かやりたいという思いはありました。
そこで大学を出た後に普通に就職をしまして、組み合わせ最適化のソルバーを販売しているようなところだったんですが、応用分野の時のお客様とかで言うと一番は金融ですよね。金融はもちろん重要な分野ですし、経済の血液と言われるような分野ですが、それに対して金融だけで社会が動くかと言うと、そんなことはなくて物流もそれと同じぐらい並んで重要な分野です。金融が経済の血液だとすると物流は経済に対しての骨と筋肉だと。実際に社会を動かすというのはロジスティクスなくては社会は動きませんから。
ただこういう分野ではまだ組み合わせ最適化とか、あるいは昨今ですけども非常にAIの分野で色んな ITの技術が出ていますが、こういうものがまだまだ活用されていない状況でした。これは本当に残念だなと。ここで何か自分がせっかくできることがあるのに、そういうことにチャレンジしていかないのは本当にもったいないと思いまして、それで頑張ってやってみようかなというところです。
平野:組み合わせ最適化のお話が出ましたが、それをシステムとして提供していると思います。自動配車システムの概要を端的にお話いただきたいなと思いますが、どんなシステムでしょうか?
朴:一言で言うと、配送計画をコンピューターが自動で作ってくれるもの、です。
イメージしやすいように、例えばコンビニを思い浮かべていただいて、この辺りにも非常にたくさんのコンビニチェーン店がありますよね。お昼に行くと大体お弁当が全部ズラッと並んでいます。
ただ、当然そのコンビニの店舗でお弁当を作っているわけではないので、別のお弁当を作る工場で作ったものを、いわゆる共販センターと言われるところに運び、そこから近隣でも各チェーンのコンビニが1,000店舗規模であると思うのですが、朝6時くらいに作った作りたてのお弁当をお昼までに全部配ると、そういうことやっているわけです。
この時に西東京の方で1,000店舗のコンビニのチェーンがあります、ここに対して朝の6時ぐらいから出発して、お昼前には全部のお店にお弁当を配るとなると一体車は何台あればいいのだろう?と。さっぱり見当がつかないですね。こういうことを物流会社の配車マンと言われる方々が、非常に土地勘もあり業務もよく分かっている、大体このエリアでこれぐらいだったら車100台あれば回れるなみたいな、こういうことをやっているわけです。
これを、土地勘が特になくても「お店の場所はどこですか」と住所をズラッと入れますと、「このお店に対してどれぐらいの荷物の量があるんですか?」というものをズラッと入れると、それで時間の条件などを入れてあげてコンピューターにポンと計算をさせると、これだったら車が95台でいけますよというようなことを計算してくれる。 なおかつ1台1台の車がこの1号車は西東京のこことここ行きましょう、新宿周辺を少し行った後に実はもう少し代々木の方も寄れるから寄って行きましょうと、1台1台のルートも組んでくれると。こういうものをやってくれるのが自動配車というものになります。
平野:当時は恐らく自動配車システムという概念自体がなかったと思います。例えば2000年当時というのはなかなか受け入れられるまで大変だったと思いますが、当時はどうでしたか?顧客開拓という意味で言うと。
朴:全くそういう概念がなかったということでは実はないです。ただ世の中には全然メジャーになっていないので、そもそも配車がコンピューターでできることを知らない方が多い状況でした。世の中にそういうものがあるんだよと、コンピューターはこういうものに役に立つんだよと、これを知っていただくのはやはり苦労はしました。
平野:なかなかイメージが伝わらないという感じですか?
朴:そういうものがあるということを知らないと、例えばスマホが出てきた時に今だったら皆さん非常に便利で使っていますよね。ただ初めてスマホが出てきた時は、そもそも便利・便利ではない以前にコンピューターみたいなものが小さく手元で全部できる、そういうものがあるということを知らないという方が多い状況だったと思います。ちょうどそんな状況です。
だから逆に言うとそういうものがあると知っていただいて、「どうですか?こんな感じでボタンを押したらルートが出ますよ」というのをお見せすると、こんな便利なものあるんだ!みたいな反応でした。知っていただいた先にこういうものを理解していただいて、便利なものだとわかっていただく、そこは逆に理解を得られやすかったという気もしますね。
平野:話を聞いていただくまでは難しいかもしれないですが、実際に触っていただくと「こんなシステムでそんなことができるのか」というのがあったという感じですね。
自動配車システムは輸配送業務を最適化するための計画をつくれるシステムです。効率よく輸配送業務を行うためには、効率よく輸配送業務を行うための計画が必要となるところ、その計画が自動でつくれてしまうというものです。輸配送業務の最適化に取り組む際は、ぜひご検討ください。
平野:当時は恐らくオンプレミス型のシステムだったと思いますが、これを3年ぐらい前からでしょうか。クラウド型に変更してきたと思います。導入費用が大幅に下がったことによって導入社数が凄く増えているかと思うのですが、このシステムを作っている中で物流業界にしていきたいビジョンとかはありますか?
朴:日本の物流の素晴らしいところとして、働いている人たちのレベルが非常に高いと。ものすごく高度なことをやっているんですよね。ただこれは凄く高度なことだけに、なかなか誰にでもできることではないというか。特に労働人口がどんどん減っていく、人がいなくなっていく環境だと、これをどう持続していくのかというのが、どの会社さんも今、課題に直面されている状況だと思います。
そうしたところに今我々の自動配車というのもそうですし、デジタルのツールで便利なものがたくさん出てきています。こうしたものを使って熟練した人たちがどんどん減っていっても、どなたでも今と同じような高いレベルの物流業を世の中に提供していくということに我々が力になれば良いなという風に考えています。
平野:その中で今後のYouTubeでやっていきたいこととか、伝えていきたいことはありますか?
朴:やはり我々が事業をやっていて非常に痛感するのが、ここで私が今日話すような課題というのは事業者の皆様の方がよくご存知だということです。ただ、凄く大きな変化がこれからやってくる中で一体どうしたらいいんだろう?と、そこが全く分からない、途方に暮れている、そういう方々がまだ多いかなと。
そこに対して、これから来る変化はどういうものか、例えば2024年問題がありますし、そうしたものに対してはどのような対策が有効であるとか。あるいはデジタルツール、我々のツールも含めてですけど、こういう便利なものを使えばこういう風に業務を変えていくことができますというような。これからの時代をどのように乗り切るか、非常に素晴らしいレベルの物流サービスというのを日本は実現できているので、これを今後もどうやって持続していくかですね。こういうことに対して情報の発信ができればなという風に思っております。
平野:色んなマーケティング施策がある中で、YouTubeを選ばれた理由はズバリ何でしょうか?
朴:本音で言うと1回やってみたかった。私も子供がいますけど若い人を見ていると情報の摂取というのが動画の方にシフトしているなと。これからのことを情報発信したいとなった時には、そういう人たちに一番受け入れやすい形で我々もメディアを選んでいかないといけないかなという風には思います。
これまで通りに新聞でも色々な情報を発信しておりますし、こういうことも当然ながらやっていきますが、まだまだ新しいメディアにチャレンジしていきたいというところです。
平野:まずやってみたかったということですね。意外と物流のチャンネルはないですよね?
朴:それぞれの立場の方々、例えばドライバーさんとかのYouTubeはものすごく最近増えていますし。ただ、こういう情報を統合して見ていただくというようなところはまだ少ないのかなというのは個人的な印象としてありますね。
平野:物流ナビでは、物流業界の総合的な話題を皆さんに役に立つようにお届けしたいという風に思っています。ぜひチャンネル登録をお願いします。