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初心者向けかんたん物流コラム

トラックGメンとは?設置の背景・活動概要・活動実績


2023年7月、国土交通省にトラックGメンが設置されました。いわば荷主対策の専門部隊であり、発足以降、違反原因行為の疑いのある荷主への監視強化に大きな力が注がれています。トラックGメンによって、荷主への監視が強化されると共に、長時間の荷待ちや運賃の不当な据置きなどといった違反原因行為の是正が推進されていくことが期待されています。


トラックGメンとは?



トラックGメンとは、適正取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者への監視を強化することを目的として設置された国土交通省の専門部隊のことです。計162人で構成されており、2023年7月より活動が行われています。

トラックGメンは、運送事業者に対して電話をしたり訪問をしたりするなど、プッシュ型で情報収集を行うことを活動上の基本方針としており、トラックGメンが集めた情報は、後の法的措置へといかされます。情報収集の結果、違反原因行為の疑いのある荷主・元請事業者には、貨物自動車運送事業法に基づき「働きかけ」や「要請」などの措置がとられます。


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トラックGメン設置の背景



2024年問題

トラックGメン発足の大きなきっかけとなったのが2024年問題です。

今後、大幅な輸送力不足が懸念される中で、政府は「商慣行の見直し」を2024年問題対策の柱としており、荷主・運送事業者間の適正取引やドライバーの労働生産性を阻害する行為を防ぎ、積極的なアプローチで是正を促す部隊としてトラックGメンを設置することを施策の一つとして講じました。

実運送を担う事業者は荷主との関係上、立場的に弱く以前からある商慣行にならうことを余儀なくされてしまう側面があります。2024年問題対策を講じる上で、運送事業者が割を食う状況を是正することが不可欠であり、政府はトラックGメンを含めた複数の施策で状況を打破しようとしています。

【関連記事】
物流2024年問題とは?運送事業者/荷主/社会への影響や求められてくること

法的措置の実効性の確保

トラックGメンの設置は、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」や「要請」などの法的措置の実効性を確保するためでもあるとしています。トラックGメン設置の以前から、違反原因行為の疑いのある荷主に対しての法的措置はありましたが、いまひとつ実効性が乏しかった状況があったためです。

詳しくは後述いたしますが、トラックGメン設置後は、設置前に比べ、「働きかけ」や「要請」などの件数が大幅に増加しています。トラックGメン設置の効果は確実に出てきています。



トラックGメンはプッシュ型で情報収集を行う



トラックGメンは、プッシュ型で情報収集を行うことを活動上の基本方針としています。全国約6万といわれる運送事業者を対象に、トラックGメンのメンバー自らが、電話・あるいは訪問をするなどして情報収集を行います。

違反原因行為が有るか無いか、集めた情報の精査のため、当該現場(荷主の事業所や荷捌き場など)に赴くことでの直接の確認などもしているといいます。


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「働きかけ・要請・勧告・公表」の対象となる違反原因行為とは?



違反原因行為とは、法令違反の原因となるおそれのある行為のことです。具体的には、以下のような行為が違反原因行為にあたります。

・恒常的に長い荷待ち時間
・無理な到着時間の設定
・過積載になるような依頼
・依頼にない附帯業務
・運賃・料金の不当な据置き
・ドライバーの拘束時間超過
・異常気象時の運行指示

上記のような違反原因行為をしている荷主・元請事業者は、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」「要請」の対象となります。「要請」があっても改善が見られなかった場合には、「勧告」「公表(社名の公表)」とさらに重い措置がとられることになります。

出典:国土交通省東北運輸局「トラックGメンとは…」

違反原因行為の割合



下の円グラフは「荷主起因の違反原因行為の割合」(国土交通省公式サイト「「トラックGメン」について」)を示したものです。

これを見ますと、最も多いのが「長時間の荷待ち(53.5%)」、次に多いのが「契約にない附帯業務(14.8%)」、さらに「運賃・料金の不当な据置き(13.2%)」、「無理な運送依頼(8.3%)」、「過積載運行の要求(6.5%)」、「異常気象時の運行指示(3.7%)」となっています。

このように、違反原因行為の大半は長時間の荷待ちです。長時間の荷待ちは、トラックドライバーの長時間労働の温床となっていることに加え、労働生産性を下げるものとして、かねてから問題視されています。政府が掲げる2024年問題対策の中でも重要な項目となっており、トラックGメンにかかる期待も大きいでしょう。

出典:国土交通省公式サイト「「トラックGメン」について」

【関連記事】
荷待ち時間とは?実態・発生原因・改善策・政府の施策

24年3月31日までのトラックGメンの活動実績



トラックGメンの活動実績についても、国土交通省のホームページに掲載されています。24年3月31日までに、2件の「勧告」、174件の「要請」、478件の「働きかけ」を行ったとのことです。

トラックGメン設置前4年間は、「要請」が4件、「働きかけ」が85件だったことから、大幅に増加していることが分かります。

また、「勧告」においてはトラックGメン設置前は1件も行われていませんでした。トラックGメン設置後に初めて「勧告」が行われたことになります。
2件の「勧告」に関して、「要請」後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があったため、「勧告」に踏み切ったとしています。

出典:国土交通省公式サイト「「トラックGメン」について」



トラックGメンへの連絡先



各運輸局にトラック荷主特別対策室(トラックGメン)が設けられています。

「不当に運賃・料金を据え置かれている」「長時間の荷待ちが改善されない」といったことなどで相談をしたい際や、違反原因行為に関する情報提供を電話でしたい際は、管轄の運輸局(トラック荷主特別対策室(トラックGメン))に連絡するのが良いでしょう。

また、国土交通省のホームページ上には、通報窓口として目安箱が設置されています。荷主・元請事業者の違反原因行為に関する情報提供は目安箱からも可能です。

まとめ


トラックGメンとは、適正取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者への監視を強化することを目的として設置された国土交通省の専門部隊のこと。

トラックGメンは、プッシュ型で情報収集を行うことを活動上の基本方針としており、訪問や電話で情報収集を行っています。

また、23年7月に発足以降、成果は確実に出ており、24年3月31日までに2件の「勧告」、174件の「要請」、478件の「働きかけ」を行ったとしたとしています。トラックGメン設置前4年間は、「要請」が4件、「働きかけ」が85件であり、勧告は1件も行われていませんでした。



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