食品の共同配送を主力とするシモハナ物流様では、物流センターの新設時には
新規荷主の獲得に向けた営業活動と配送業務の立ち上げが同時に進行する。
このプロセスにおいて、配車計画は収支シミュレーションや業務設計の基礎となり、
それには配送効率の高さや精度の高さとともに作成のスピードも要求される。
ノウハウを持たない土地での配車計画に窮する状況から始まった、自動配車を生かした
新センターの運営は、社内でも先端をいく運営手法の確立につながった。
統括井窪 智康氏
所長高橋 加寿歩氏
寺田 典史氏
広島に本社を置くシモハナ物流様は、外食や食品小売業向けの物流業務を主力としている。西日本を地盤に中部や関東にも積極進出しており、2014 年に稼働した浦和センターは関東で2 か所目の共同配送拠点にあたる。
その浦和センター開設当初の重大な課題が、営業活動やセンター運営に不可欠な配車計画であった。
「先に稼働した厚木センターでは協力会社の助力を得られたのですが、浦和は自社車両中心で外部からの情報収集が難しい。ドライバーの1/3 は新人で、ノウハウは期待できませんでした」
相談を受けた本社の寺田様の発案で、従来シミュレーションに使用していた『LYNA 自動配車デスクトップ』を物流センターの開設と運営に全面活用する初の試みが始まった。
『LYNA 自動配車デスクトップ』の利用は、主に井窪様が顧客向け提案作成と収支試算、高橋様が日々の配送業務用の配送コース作成と収支試算という分担で始まった。
まず問題となったのは配車条件の設定だ。これは協力会社の意見や他社からの業務引き継ぎ時の追走結果などを反映し、設定を追い込んだ。道路条件もていねいに調整し満足のいく計画精度を実現。当初は同じ用語でも社内と『LYNA 自動配車デスクトップ』で意味が違うことに戸惑ったが、寺田様のサポートで乗り切った。
収支試算では以前から使用している試算ツールに『LYNA 自動配車デスクトップ』のExcel 出力データを展開できるようにし、入力の省力化とミスの防止に役立てている。
高橋様は「配送開始前は『LYNA 自動配車デスクトップ』で作成した配送コースで走ることに若干不安もあったが、思った以上に上手くいった」と振り返る。
順調な滑り出しを見せた浦和センターに、次の山場はすぐに訪れた。既存配送先70 件に対し400 件が加わる大型案件が決定したのである。これも『LYNA 自動配車デスクトップ』を活用し、受け入れ決定から3 か月で配送を開始するというスピード対応を実現した。この営業活動と配送業務への反映サイクルは現在まで続いている。
「関東での配車は西日本とは傾向が異なる上、荷主からスピードも要求される。厳しい状況でも配車計画の質とスピードを両立できるのは有利です」
シモハナ物流様では常にコストを意識しており、配車計画も例外ではない。
「ドライバー賃金と高速道路料金から高速道路の使用可否を決めるなどコスト基準で計画を作るのが理想」という。
今回の成功で寺田様は『LYNA 自動配車デスクトップ』が物流センターの立ち上げに適してることが実証されたと語る。この手法を今後の新設センターへ適用するとともに、既存センターへの応用も構想している。
「既存センターの運営体制の変更は簡単ではないが、改善したいという現場担当者は確実にいる。思いのある担当者の背中を押してあげたいですね」
センター運営における新メソッドを得て、快進撃はこれからも続いていく。
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