【社長コラム】

ロジスティクスAI 戦略のポイント

失敗しない配車システムの導入方法


From:朴成浩


新年度になりました。

今年は桜がきれいですね。


おかげさまにて、当社は現在、新年度からのプロジェクト立ち上げ数が過去最高の状況となっていまして、まさに文字通り東奔西走しています。


日々の配車業務に「自動配車システム」を導入するということは、お客様においては非常に重大な決断です。


他のシステム導入との一番の違いは単に新しいシステムを使うということではなく業務を変えることになることです。


そのゴールは、お客様によってさらなる効率化を目指すことであったり、属人化を脱して、誰でも同じ品質の計画が立案できるようにすることであったり、


あるいは、業務手順の標準化を図ることや運行時間や配送サービスレベルにおける基準を確立することであったりと様々ですが、


どんな導入の目的であったとしても、私たちが、お客様の、特にキーマンの方にくれぐれもご注意をお願いしていることがあります。



配車システムの導入で理解すべきこと



誰でも、コンピューターを使って手軽に

良い輸配送の計画を立案できるようにする。


これは、属人的でベテランの勘と経験に頼りっきりになりがちのロジスティクス業界においては、まだまだある意味では非常識なチャレンジです。


私たちは何だかんだでもう16年間、この事業に取り組んでいます。まだお客様の導入を成功させる立ち上げノウハウが確立していなかった時代には苦い経験もしました。

しかし、そうした数々の経験(ときには失敗)を通して様々なノウハウを蓄積することができました。こうしたノウハウは、自動配車の性能とともに、私たちが自信を持っている点です。


立ち上げに際して注意すべきポイントはいくつかありますが、その中でも特に、まず、主要な関係者全員がここを理解しておかないと成功が危うくなる、非常に重要なポイントがあります。


これはどの企業にも共通するもので、それどころか、実は配車システムだけではなく現場業務が関わるあらゆるシステム化についても共通するポイントです。


輸配送システムの場合は、たとえば、


・輸配送の効率化を目指す

・業務を誰でもできる化する

・計画立案のスピードを上げて倉庫や配送作業のサービスレベルを引き上げる


など、そのゴールは様々ですが、いずれにしても、


「現在はできていないこと」

「現在、弱点になっていること」


を克服・実現しようとしているわけです。


ということは、当たり前のことではあるのですが、単にシステムを入れれば全てがめでたく解決する、ということにはなりません。システムの対象となる業務自体を必ず何かは変えないといけないことになるわけです。


より刺激的な言い方をすると、


現在の業務は無傷ではいられない


のです。ここをしっかり理解できていないと、まず間違いなくプロジェクトはぐだぐだになります。



システム導入は手段。目的を常に意識しよう!



「システム導入」というプロジェクトは、率直に言って現場からすれば普段やらない「余計な業務」ですから、ときには「面倒くさいなあ」とか「今まではこんなの必要なかったのに」といった不満が出ることもあります。


ここで重要なのは、


システムを導入するために

今までのやり方を変えている


のではなく、


今までの業務ではできていなかったことを達成するために

今までのやり方を変革するのだ


ということをしっかりと意識することです。


実は「システム」は何の関係もないのです。今までの弱点を改善するため、あるいは今できていないことをやろうとするためには、システムを入れる入れないにかかわらずいずれにしても業務は変えなくてはいけないのです。


ものすごく当たり前の話ですが、今までと同じやり方をすれば今までと同じ問題に行き当たります。当然ですよね。しかし、他人のことならよく分かるのに、自分のこと、自社のことになると急に見えなくなるのが人間です。


「やり方を変えずに、成果だけ変わってくれることを願う」そんな虫の良い期待を、あなたも一度や二度は抱いたことはありませんか?(正直に白状しましょう。私は何度もあります……)


今までと同じことを続ければ当然ながら(良くて)今までと同じことしか起こらないわけですが、にもかかわらず、「でもとりあえず、もうちょっとこの我慢を続けよう、もうちょっとこの努力を続けよう」と、つい思考停止して現状の変更を拒んでしまう。非常にありがちなことです。


いずれにしても、今までと違うゴールを目指すのであれば、当然ですが、今までと違うやり方をする必要があります。その、「今までと違うやり方」を強力にサポートしてくれるのがシステムなのです。システムは、今までと違うやり方をするために必要な道具であって、それ以上でもそれ以下でもありません。


「システム導入のために業務を変える」のではなく

「今できていないことを達成するために業務を変える」

そのためにはシステムを上手に使いこなす必要があるのだ!


この意識を関係者全員がしっかりと理解し、共有し、日常業務の中で忘れてしまわないようにする。これが非常に重要です。


では、このような「システム導入は目的ではなく手段である」という意識をチームで徹底して共有し続けるためにはどうすれば良いでしょうか?



問題点の共有が成功のポイント



今回のシステム導入は、今はできていない

「○○○」を達成するための手段である。


というような、システム導入における目的と手段をチームで徹底的に共有するためには、まず、システム導入以前の現状の業務の問題点、課題をチームメンバーがしっかりと理解しておくことが重要です。「痛み」の共有ですね。


何が問題なのか?

なぜ問題なのか?

どうしてそれを解決しなくてはいけないのか?


という「痛み」をしっかりと理解できていれば、


では我々は何を目指すべきなのか?

そのために何を変えなくてはいけないのか?


という「目的」も、ブレずにやり遂げることができるわけですね。


人間は忘れっぽく、怠惰な動物です。プロジェクト開始時には、みんなで熱く共有したはずのゴールもすぐにぼやけてしまいがちです。昔、古代中国の越王が、宿敵を打ち破るという遠大な目的を忘れないようにするため、屈辱の味を忘れないよう毎日、苦い肝を嘗めたと言う有名な故事があります。


さすがに私たちは毎日、苦い肝を嘗める必要はありませんが、プロジェクトのスタートは抽象的な理想に置くよりも、さらにその前の具体的な痛みに置いた方がブレずに目的を達成できるものなのです。


幸い、我々ライナロジクスのスタッフには選りすぐりの「苦い肝」が勢揃いしています。私たちと一緒にゴール目指して最短距離を一直線に駆け抜けましょう!



++朴成浩



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