初心者向けかんたん物流コラム
ネット通販って便利ですよね。いまやネットで買えないものはないんじゃないかというくらいですし、便利すぎてついポチッとしてしまいます。
しかし、このポチッができるのも、絶えず物流が機能しているからこそ。
年々、物流業界が担う役割は重要度が増してきているように思います。
そんな物流業界の現状や課題とは?
新型コロナウイルスの影響によって、日本社会は大きな変化を余儀なくされました。
物流業界にはどんな変化があったのでしょうか?物流業界の現状や市場規模などについてご紹介いたします。
今、宅配便の取扱個数がすごいことなってきているというのが、物流業界の大きなトピックとなっています。
国土交通省のデータを見ると、2020年度は前年度から5億1298万個も増加しています。割合にすると11.9%の増加です。
2021年度は、2.4%の増加で、やや数字の伸びは落ち着きつつありますが、それでも宅配便の取扱個数は7年連続で最多を更新しています。
スマートフォンの普及によりネットショッピングを利用する人が増加、さらには新型コロナウイルスにともなう巣ごもり需要が拍車をかけたことが、このようになっていると考えられています。
そういえば最近、宅配便を受け取る時、業務委託をされた運送会社の方から荷物を受け取る機会が非常に多くなってきたなぁと感じます。自社のドライバーだけでは宅配便の需要に追いつかないということですよね。それだけ、宅配便の取扱個数が増えているんだなぁとふと思ったりします。
出典:国土交通省「令和2年度宅配便取扱実績について」
出典:国土交通省「令和3年度 宅配便取扱実績について」
物流業界といえば「安定」というイメージがありませんか?実際どうなのでしょう。
矢野経済研究所の「物流17業種総市場規模推移・予測」というデータを見てみます。
「物流17業種総市場規模推移・予測」を見れば、物流業界の市場規模がどのように推移してきているか、推移していくのか、がわかります。
これによると、2020年度の市場規模は20兆405億円で、2021年度は21兆5810億円を見込んでいます。
そして、2022年度は22兆500億円、2023年度は22兆4610億円を予測しています。2020年度より前の年度に関しても、上げ下げはあるものの、ここ数年20兆円を超えたところでキープしています。
やはり、物流業界は安定しています。モノがある限り物流はなくならないですし、市場規模が縮小しにくい業界と言えるのではないでしょうか。
出典:矢野経済研究所「物流17業種総市場規模推移・予測」
近年、多くの荷主企業が導入しているのが3PLという形態のサービスです。
3PLとは、「3rd Party Logistics」の略で、第三者となる企業が荷主に代わって物流業務を行うということ。もはや物流業界では主流のサービスとなりつつあります。
ではなぜ、主流となりつつあるのかと言いますと・・・、荷主企業が自らで最適な物流を構築しようとすれば、人も設備も必要になる、ということはお金も時間もかかる、それであれば一括で物流の専門家にお願いしたほうがコスパもタイパもいいよね、このようなことが背景にあります。
一般的には、3PLを手掛ける3PL企業は、荷主の物流が最適化されるよう提案を行い、物流の設計から遂行までを一括で受託して業務を行います。
荷主企業のメリットとしては、物流業務から手が離れることでコア業務に集中できるようになることに加えて、物流のムリ・ムダをなくすことでコスト削減や輸送品質の向上なども期待できるようになります。
物流業界には様々な課題が存在しています。その中でも現状で特に大きな課題として指摘されているのがドライバー不足と燃料高騰です。
物流業界の大きな課題として真っ先に挙げられるのがドライバー不足です。いまや「数年後にはモノが運べなくなるのでは?」と危惧されるほどに深刻さを増しています。
モノが運べるのは、ドライバーがいるからこそ。ドライバー不足が深刻化すれば、正常にモノが運べなくなってしまうということになります。そうなれば、製品が届くのに時間がかかるようになったり、思うように手に入らなくなったり、ということも考えられます。ドライバー不足は、物流の危機、日本経済の危機でもあるのです。
ではなぜ物流業界はドライバー不足に陥ってしまったのか。主な要因とされているのが他産業に比べ劣る労働環境や待遇です。とあるデータによるとトラックドライバーの年間労働時間は全産業の平均よりも2割ほど長いとしています。さらには、年間所得額に関しても全産業平均に比べると低い水準となっています。要するにトラックドライバーは「低賃金なうえ、長時間労働」というまさにダブルパンチのような状態になってしまっているのです。
【ドライバー不足について詳しく知りたい方はこちら】
なぜドライバー不足は深刻に?要因や対策のポイントなどについて解説します
昨今の燃料高騰は物流業界にとって、大きな大きな打撃となっています。特に実運送を担う運送事業者にとっては、新型コロナウイルスによる輸送量の減少があった中で、さらに燃料が高騰するという困難に困難が重なったような状況です。
運送事業者にとって燃料費は人件費に次いで大きい支出割合の大きいコストです。大幅な燃料高騰は事業継続を左右しかねないほどのダメージとなってしまいます。
もちろん、燃料高騰分をそのまま荷主に請求できればいいですが、簡単ではないのが実情です。実際、株式会社帝国データバンクの「物価高倒産」動向調査(2022年度上半期)によると、業種詳細別では運輸業の倒産件数が最も多くなっています。燃料高騰分の価格転嫁がうまくいかずに倒産する運送事業者が出てきています。
出典:株式会社帝国データバンク「物価高倒産」動向調査(2022年度上半期)
ドライバー不足という物流業界の主要課題を解決するために重要となってくるのが輸配送の生産性向上です。生産性向上が実現されればホワイトな労働環境となり、人材確保にもつながっていくからです。
生産性向上を図るものとして特に注目されている取り組みをご紹介いたします。
昨今、急速にデジタル化が進んだ印象があります。新型コロナウイルスの影響もあって、プライベートではおうち時間が増え、ビジネスシーンでもリモートワークや非接触型ビジネスが当たり前となりました。今や生活にビジネスにと、デジタルは人やモノをつなぐ大きな役割を果たしています。
このような中で、物流業界にも着実にデジタル化の波は押し寄せてきています。物流システムやAIもどんどんと普及しており、様々な製品がリリースされています。
例えば、自動で効率の良い配送計画が組めるようになる自動配車システムというシステムがあれば、ドライバーの長時間労働の大きな要因となっている荷待ち時間を削減できるトラック予約受付システムなどもあります。どちらもトラック輸送の生産性向上が期待できるシステムです。
物流業界のドライバー不足解決に大きくつながるものとして期待されているのが自動運転やドローンなどの新しいテクノロジーの導入です。
自動運転が実現されれば、省人化はもちろん、走り続けることができることから配送時間の短縮も期待できますし、ドローン配送が実現されれば、道路条件に左右されないことから、車が行きにくい山間部などへの配送もしやすくなります。
自動運転やドローンなどは、物流業界にとってはまさに願ったり叶ったりなテクノロジーです。海外ではすでに一部ドローン配送が行われている国もあるようです。日本の場合は、様々な不足な事態への対応や法整備などの問題があり実用化までにはまだ時間がかかりそうですが、自動運転もドローンも官民一体で実証実験が進められており、着々と実現の方向に向かっています。
共同配送とは、異なる企業の荷物を、同じ物流センターに集約し、同じトラックで配送する方式のことです。納品先が同じ荷物がある場合でも、通常は、荷主が異なれば別々のトラックで配送することになりますが、共同配送は、別々となっていた配送業務を企業間で協力し合い一つにまとめてしまおうというものです。
共同配送を実施することで、積載効率の向上や車両台数の削減などが期待できます。
輸送方法を、トラックから鉄道や船舶に切り替えるモーダルシフトも、ドライバー不足解決に有効な施策の一つです。
メリットは、トラック輸送に比べて、一度に多くの荷物を運べる点で、トラックであれば複数台で運ばなければならない荷物も、鉄道や船舶であれば一便で運ぶことができます。
船舶や鉄道は、トラックに比べてCO2排出量を大幅に抑えられるのもメリットです。ドライバー不足解決に加え、環境負荷低減にも有効な施策として考えられています。
前述しましたように物流業界にはドライバー不足というとても大きな課題が横たわっています。
今後は、高齢ドライバーの大量退職や2024年問題などの影響によりさらに深刻化する可能性もあり、ドライバー不足が物流を停滞させてしまう恐れすらあります。そのためドライバー不足への対策として、物流システムやAIなどの生産性向上に寄与するソリューションがますます普及していくことが考えられます。
また、物流業界は社会の状況や景気に大きく左右される業界です。新型コロナウイルスの影響ひとつ見ても、宅配分野は需要が急増した一方で、輸送分野は、メーカーが製品の減産を余儀なくされたことで、需要が落ち込みました。
このような観点で今後を見ると、EC市場が拡大傾向にあることや買い物難民が増加傾向にあることなどから、まだまだ宅配需要は伸びていきそうな、もしくは高い需要をキープしたまま推移していくことが想定できます。一方で輸送分野においては、長く経済が停滞していることから、現時点では急に輸送量が増大するということは考えにくいでしょう。
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