初心者向けかんたん物流コラム
物流費や原材料費の高騰により、様々な商品が値上げを余儀なくされています。最近では、アサヒ飲料やキリンビール、スシローなどから商品値上げの発表がありました。スシローではついに10月1日から100円皿がなくなるそうです。
ウクライナ情勢の影響もあり、物流費は今年に入ってからさらに上昇傾向にあることが想定されます。今、荷主企業では物流費高騰をどのように受け止め、そしてどのような対策を行っているのでしょうか?
弊社では独自に物流費高騰に関するアンケートを実施いたしました。荷主企業様から実際の影響や対策などについて回答をいただております。現状把握や今後の対策を講じる際など、物流に関わる企業様のご参考になりましたら幸いです。
アサヒ飲料やキリンビール、スシローなど、物流費高騰を一因とした商品値上げの様々なニュースが飛び交っていますが、昨今の物流費高騰の事実はデータからも見て取れます。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)発表の「2021年度物流コスト調査報告書」によりますと、荷主企業の売上高に対しての物流コスト比率は、5.70%(全業種平均)。これは、過去20年で最高の値で、14年ぶりに5%台を超えた前年2020年度の5.38%を、0.32ポイント上回った格好です。
また、経済産業省が発表した「物流危機とフィジカルインターネット」では、日本銀行の「企業向けサービス価格指数(2015年基準)」を基に作成された折れ線グラフが掲載されており、これを見ると、道路貨物輸送のサービス価格が2010年代半ばから後半にかけて急激に上昇していることが分かります。2010年代後半には、バブル期の水準を超え、過去最高にまで上昇しています。さらに宅配便にいたっては、道路貨物輸送を優に超える上昇幅です。
このように物流費はインフレ圧力が強まっており、特に輸配送費の値上がりが顕著となっています。物流費は「輸配送費、保管費、包装・梱包費、荷役費、物流管理費」で構成されますが、一般的に大半を輸配送費が占めます。輸配送費が大きく値上がりしている今、荷主企業の経営や事業に大きな影響を及ぼしていることが想定されます。
物流費高騰を示すデータについて、先にご紹介いたしましたが、ではなぜこんなにも物流費、特に輸配送費が値上がりしているのでしょうか?大きな理由としては2つ挙げられます。
輸配送費が値上がりしている大きな理由として、まず挙げられるのがドライバー不足です。
ドライバー不足は、今や、「数年後にはモノが運べなくなるのでは?」と危惧されるほどの社会課題にまで深刻化しています。背景には、ドライバーの他産業に比べ低い水準にある賃金や常態化する長時間労働などがあり、運送事業者が利益を確保しながら賃金や待遇の改善を行い、ドライバーの雇用促進を図るためには、運賃値上げが不可欠なのです。
公益社団法人全日本トラック協会の公式サイトから、四半期ごとに発表されている「トラック運送業界の景況感(速報)」という資料を閲覧できるのですが、資料中に「雇用状況」の項目があります。「不足」と「やや不足」の回答を含めた数は、令和3年1月から12月まで、約4割から6割の間を推移しており、いかにドライバー不足に苛まれている運送事業者が多いかが分かります。
物流・運送業界は、労働集約型産業のため少子高齢化・労働力人口の減少の影響を強く受けてしまうことに加え、2024年には、ドライバーに時間外労働の上限規制が設けられます(2024年問題)。今後、トラック運賃の上昇傾向にますます拍車がかかりそうです。
【2024年問題の解説記事はこちらです!】
物流・運送業界に差し迫る2024年問題とは? 働き方改革関連法による3つの大きな改正点
輸配送費が値上がりしている理由として次に挙げられるのが、燃料費の高騰です。
ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの影響で、軽油の小売価格は今年に入ってから一時期155円近くにまで上昇していました。最近は、政府が石油元売りへの補助金を支給するなど、小売価格を抑制するための措置が取られていることから、値下がり傾向にあるものの、依然として高値であることには変わりません。
運送業界は、軽油の価格が1円上がると業界全体で約150億円負担が増えるとされ、運送事業者にとって昨今の大幅な燃料高騰は事業継続を左右しかねない大きな打撃となっています。運送事業者にとっても、自社努力ではいかんともしがたい、運賃値上げもやむを得ない苦しい状況なのです。
【燃料高騰について運送事業者や荷主企業へアンケートを行いました】
燃料高騰の今|影響や対策は?運送事業者や荷主企業へアンケートを行いました
先にご紹介しましたように、今年に入ってからはウクライナ情勢の影響などから、特に燃料費が高騰しています。荷主企業に対して燃料サーチャージ制導入の申し入れや値上げ交渉を行う運送事業者は増えていると思われ、物流費はさらに上昇傾向にあることが想定されます。
この度、弊社では荷主企業を対象に、5月16日から5月27日の間で、物流費高騰についての独自アンケートを実施いたしました。アンケートの回答結果をご紹介いたします。
最も回答数を集めたのが「輸配送費(10件)」で、71.4%が「輸配送費」と回答した結果となりました。次に回答が多かったのが「包装・梱包費(9件)」でした。包装資材の値上がりがあったものと考えられます。「なし」の回答があったのはわずか1件でした。
最も回答数を集めたのが「4」、次に「5(非常に影響が出る)」となり、85.7%が「4」と「5(非常に影響が出る)」のいずれかを選択したという結果になりました。「1(影響は出ない)」への回答はありませんでした。物流費高騰は経営/業務への影響が大きいと見ている方が大半であることが分かります。
14名のうち11名、78.6%が具体的な影響に「利益減少」を挙げました。「雇用・派遣スタッフ導入の見送り、既存社員への業務負荷増」と、雇用とそれに絡んだ影響を危惧した回答もありました。
「混載チャーター便の採用」「積載率や回転率の向上」「物流拠点の見直し」「配送頻度(回数)の改善」「1回当たりの配送量増加」「輸送能力UP」などトラック輸送の生産性や輸送効率を向上させようとする回答が多く見られました。「隔日配送」、「リードタイム延長」とリードタイム延長に関する回答も複数ありました。
<回答一覧>
「混載チャーター便の採用」「積載率向上」「1回当たりの配送量増加」など、トラック輸送の生産性や輸送効率を向上させる対策で既に成果が出ているという回答が複数見られました。先の設問「物流費高騰を受け、物流費抑制のために実行している(検討している)対策はありますか?」の回答のうち、半数の対策で既に成果が出ていることが見て取れます。
最も回答数を集めたのが「配車担当者(6件)」で、次に多かったのが「専門部署/チーム(5件」」でした。物流業務に日頃から携わり知見に富んだ人員が物流費抑制のための対策を講じ進めていることが見て取れます。
弊社は、荷主企業様や運送事業者様など物流に関わるあらゆる企業様にお使いいただける自動配車システムを提供しています。
弊社の自動配車システム「LYNA(ライナ) 自動配車クラウド」は、配車業務の効率向上に加え、トラック輸送の生産性向上にもお役立ていただくことが可能です。配車シミュレーションでの使用により、ルート・走行距離の短縮ならびに車両台数の削減が期待できます。
「本当に効率性の高い配送ルートになっているのか分からない」「輸配送コストを重視した配車計画を組みたい」といった際はぜひ自動配車システムをご活用ください。
弊社は自動配車システムを開発・提供しているベンダーとして20年の実績があります。主力製品は「LYNA 自動配車クラウド」。コアには20年以上に亘って改良を重ねてきた独自AIを搭載し、車両台数や燃料費などの輸配送コストを重視した利益の出せる配車計画を高速で立案できるのが特長です。
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