初心者向けかんたん物流コラム
物流におけるラストワンマイルとは、最寄りの配送拠点と荷物の受取人とを結ぶ最後の配送区間のことです。近年は、このラストワンマイルの宅配需要が大きく伸長しており、2022年度には宅配便取扱個数が50億個を記録しました。当記事では、ラストワンマイル市場が拡大した背景や、市場拡大に伴って顕著になってきた問題点などについて解説していきます。
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物流におけるラストワンマイルとは、最寄りの配送拠点と荷物の受取人とを結ぶ最後の配送区間のことを指します。
例えば、宅配便であれば、最寄りの営業所から荷物が運ばれてきます。この最寄りの営業所から荷物の受取人までの配送区間がラストワンマイルだということです。
また、ラストワンマイルという言葉自体は元々は通信業界で使われていたものでしたが、(通信業界では、最寄りの基地局と利用者とを結ぶ最後の区間をラストワンマイルと呼びます。)消費者にサービスが届くプロセスに共通点が多いことから、物流業界でも広く使われるようになりました。
今日ではラストワンマイルといえば、主に物流業界の用語として使われることが多くなっています。
ラストワンマイルの物流量を測る上で大きな指標となるのが宅配便の取扱個数です。国土交通省は宅配便の取扱個数を毎年発表しています。直近3年の宅配便の取扱個数は次の通りです。
2020年度:48億3647万個(前年度比約11.9%増)
2021年度:49億5323万個(前年度比約2.4%増)
2022年度:50億588万個(前年度比約1.1%増)
宅配便の取扱個数は2014年度から最高の数字を更新し続けていますが、直近2年は伸び率が鈍化傾向にあります。背景には、値上げによる物価高やECから店舗へのリアル回帰などがあると考えられています。
出典:国土交通省「令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について」
ラストワンマイル市場は、宅配便取扱個数50億個を超えるまでに拡大しました。この背景には、EC需要の増加、新型コロナウイルスの影響などがあります。
ラストワンマイルにおける物流量が増加している背景には、EC需要の増加があります。AmazonやZOZOなどのECサイトの台頭、iPhoneの登場など、様々な要因が絡み合い、2000年代後半からECが急速に普及し始めました。
2020年、新型コロナウイルスの影響により、私たちのライフスタイルは大きく変わることを余儀なくされました。行動制限・外出自粛や在宅勤務などで家にいる時間が増え、これに伴いEC需要も増加していきました。
コロナ禍による影響を強く受けた2020年度の宅配便の取扱個数は48億3647万個で、前年(43億2349万個)から5億1298万個増(約11.9%増)と急増。約11.9%増という増加率は過去20年で最大でした。
ラストワンマイル市場の拡大に伴い、以前からあったラストワンマイルにおける問題が深刻なものとなりつつあります。再配達の問題、ドライバー不足の問題、高い配送品質が及ぼす問題など、改善が急務な状況となっています。
ラストワンマイルにおける問題として真っ先に挙がるのが再配達の問題です。
国土交通省の直近のデータによると、全体の荷物のうち11.1%(2023年10月)は再配達が行われているとしています。コロナ禍前は15.0%(2019年10月)だったため、これと比較すると減少傾向にありますが、それでもまだ11%台を記録し続けており、10個に1個は再配達が行われている状況です。
再配達になった荷物は営業所への持ち戻りとなり、夜や翌日など指定された日時に改めて配送を行わなければなりません。再配達はトラックドライバーの負担増や労働生産性に大きな影響を与える問題として改善が急がれています。
出典:国土交通省「宅配便再配達実態調査結果の推移」
ラストワンマイル領域をはじめ、物流業界全体の積年の課題となっているのが、ドライバー不足です。
2024年4月からは時間外労働の上限規制がトラックドライバーにも適用されたことから、今後さらなるドライバー不足も懸念されています(2024年問題)。
ラストワンマイル領域の配送能力の過不足においては、NTTデータグループのコンサルティング企業「株式会社クニエ」が2022年11月に発表した「宅配便の配送能力に関するレポート」という中で試算結果が掲載されています。
2030年には宅配便の取扱個数が約60億個にのぼるとした上で、約5万8000人の宅配ドライバーが不足するとしています。
出典:株式会社クニエ「宅配便の配送能力に関するレポート」
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日本は海外に比べて、ラストワンマイル領域の配送品質が非常に高いことで知られています。再配達を無料で行っていることも、指定日時に確実に荷物が届くことも、日本では当たり前になっています。しかし、海外では当たり前ではありません。これらは日本特有のものです。
そして、このしわ寄せを受けてしまっているのがドライバーなのです。消費者ニーズを満たすように配送品質が向上していった一方で、ドライバーへの負担は増していくばかりになってしまっています。
ドライバー不足がより深刻化していくことが火を見るよりも明らかとなっている今、“当たり前”にメスを入れていく必要があり、ひいては消費者の理解と協力が不可欠な状況となっています。
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昨年、近い将来の物流停滞リスクへの包括的な対策を講じた「物流革新に向けた政策パッケージ」や「物流革新緊急パッケージ」が政府から発表され、ラストワンマイル領域に対しての施策も明らかとなりました。
政府は、ここ数年11%台で推移している再配達率を、施策を通じて6%にすることを目指しています。
政府は、置き配を選んだ消費者にポイントを付与する置き配ポイントの導入を検討しています。置き配の他、コンビニ受取の選択、ゆとりある配送日時の指定などを行った消費者もポイント付与の対象になることを想定。
政府は昨年末から置き配ポイント導入を社会実装するための実証事業を行うために動き出しており、今年4月には実証事業の参加事業者を取りまとめる執行団体を決定したと発表がありました。実証事業の後、全国に普及されることが見込まれています。
消費者の行動変容を促そうと広報を推進していくことも施策の一つとなっています。政府広報やメディアを通じて消費者の意識改革・行動変容を促していくとしています。
また、2024年4月は「再配達削減PR月間」とし、官民連携で再配達削減を目的とした広報活動が行われました。
・時間帯指定の活用(ゆとりある日時指定)
・各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用
・コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配など、多様な受取方法の活用
・発送時に送付先の在宅時間を確認
上記4つを消費者へのお願いとし、ホームページやSNSなどを通じて再配達削減への協力が呼びかけられました。
出典:国土交通省「再配達削減PR月間 特設ページ」
ラストワンマイルとは、最寄りの物流拠点と荷物の受取人とを結ぶ最後の配送区間のこと。
EC需要の増加や新型コロナウイルスの影響などにより市場が拡大。2022年度には宅配便取扱個数50億個を記録しました。
また、ラストワンマイルにおいて以前から表面化していた問題が深刻となりつつあり、とりわけ再配達の問題に対しての改善が急務となっています。
政府は再配達率削減を図るため施策を策定。現状11%台にある再配達率を6%にすることを目指しています。
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