初心者向けかんたん物流コラム
物流における付帯作業とは、運送業務に付随する運送以外の作業のことです。本来、トラック運送は車上受け・車上渡しが基本ではありますが、1990年の規制緩和以降、サービス化した付帯作業が広がり、これが今ではドライバーを苦しめる要因の一つになっています。ドライバーが辛酸をなめてきた商慣行に対し、行政は様々な規定を設け整備を図っています。どのような規定があるのか、ご紹介していきます。
※当記事は、2024年8月20日時点の情報を基に作成しています。
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物流における付帯作業とは、トラックドライバーの主体業務である荷物を運ぶ(運送)以外の業務のことを指します。例として、以下のような作業が付帯作業に該当します。
・荷役(荷物の積み下ろし)
・棚入れ
・仕分け
・検品
・ラベル貼り
・ピッキング
・横持ち(物流センター内での荷物の移動)
・はい作業
本来、トラック運送は車上受け・車上渡しが基本です。しかしながら、1990年の規制緩和により運送事業者が約4万社から約6万4千社に急増し、競争が激化したことで、仕事をとる・守るための付加価値的なサービスとして付帯作業が行われていくようになりました。
運送事業者の立場が弱くなっていったことに加え、「他社がやっているならうちも」というように、市場からの圧力が強まり広がっていった背景があります。
トラック運送において、付帯作業にどのくらいの時間がかかっているのか。これについて参考となるのが、国土交通省のサイト上にある「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」という資料です。
この中で、1運行の平均拘束時間の内訳が示されたデータ(短・中距離500km以下)が掲載されており、これを見ると荷役とその他の付帯作業に1時間46分(荷役1時間31分+付帯作業15分)もの時間がかかっていることがわかります。また、全体の拘束時間の平均時間は10時間8分。つまり2割弱の時間が荷役・付帯作業に割かれているということになります。
トラックドライバーはかねてから長時間労働が問題視されていますが、荷待ちや荷役・付帯作業など、これらが長時間労働や労働生産性を阻害する要因となっています。長年続いてきた商慣行が依然残っているというのが実情です。
出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」
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荷主と運送事業者との取引環境の健全化のため、行政はこれまでに様々な動きを見せています。近年はドライバー不足や長時間労働の問題とともに2024年問題への対応も急務となっており、“サービスで付帯作業を行わせる”ことに対して、より一層の厳しい目が向けられています。
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出典:国土交通省「標準約款改正に係るリーフレット」
2017年8月の標準貨物自動車運送約款等の改正により、2017年11月4日から運賃と料金の区別が明確化されるようになりました。
それまでは、運賃の範囲が曖昧であり、その曖昧さが荷主を有利に働かせる一つの要因となっていました。運送事業者の立場の弱さもあり、運賃に付帯作業料金が含まれてしまうことで、適切に料金が収受できないケースが数多く見られたのです。
2017年11月4日以降は、運賃は運送の対価であること、付帯作業などの料金は運賃に含まれるものではないこと、運賃と料金は別建てで収受するものだということが明文化されました。
さらには、付帯作業の内容もより明確となり、旧約款から、「横持ち」「縦持ち」「はい作業」「棚入れ」「ラベル貼り」などが追加され、それぞれの作業が対価の収受対象であることが明文化されました。また、荷主は運送状に運賃と料金を区別して記載することが原則となりました。
2019年5月10日の貨物自動車輸送安全規則の改正により、荷役・付帯作業の記録をすることが2019年6月15日から義務化されました。以降、ドライバーが、荷役・付帯作業を行った場合は、集貨地点や荷役作業等の開始・終了時刻、作業内容などを乗務記録に記録をすることが必須となっています。
改正以前は荷待ち時間の記録は義務化されていましたが、荷役・付帯作業の記録は義務ではありませんでした。
また、荷役・付帯作業の記録に関しては、すべての車両が対象ということではなく、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合が対象となります。さらに、運送事業者と荷主との間で交わした契約書に荷役・付帯作業に関しての作業内容が明記されている場合には、1時間未満の作業は記録不要となります。
出典:国土交通省「荷役作業等の記録義務付けに関するリーフレット」
2020年4月には、運賃や料金の参考指標を示した「標準的な運賃」が告示されました。
先の標準貨物自動車運送約款改正で、運賃と料金の明確化による収受の徹底が促されていましたが、付帯作業の対価に関して、「標準的な運賃」でも「積込み、取卸しその他附帯業務を行った場合には、運賃とは別に料金として収受」というように明記されました。
また、2024年3月には新たな「標準的な運賃」が告示され、積込料・取卸料に対しての対価表が新設されました。その他の付帯作業の対価に関しては「附帯業務を行った場合には、運賃とは別に実費として収受」というように記載されています。
出典:国土交通省「新たなトラックの標準的運賃を告示しました」
2024年5月15日に物流関連2法の改正案が公布されました。この中で新たに契約書面交付の義務化が盛り込まれ、運送契約の締結の際には、役務の内容や役務の対価などを記載した書面を荷主・事業者間で相互に交付することが義務付けられることになります。
書面には、運賃の他、仕分けや検品などの付帯業務があった際には、その付帯業務の内容と料金も記載することとしており、契約にない付帯作業が発生することや適正料金を逸脱した付帯作業が発生することを防止するものとして期待されます。
これまでも付帯作業がある場合には書面にて運賃とは別に付帯作業の料金を記載することが原則化され求められていましたが、今回改めて義務となりました。今後は、荷主・事業者間で役務と対価の認識をすり合わせ取り決め、契約書を交わしていくことが必須となります。
また、当該施策は2024年8月20日時点で施行されていません。公布日の一年後である2025年5月15日までに施行される可能性が高いとされています。
出典:国土交通省「「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を閣議決定」
物流における付帯作業とは、トラックドライバーの主体業務である荷物を運ぶ(運送)以外の業務のこと。
本来、運送業は車上渡しが基本ではありますが、過当競争から付加価値的なサービスによる付帯作業が広がっていきました。しかしながら、当然、付帯作業は対価が発生するものであり、近年は契約にない付帯作業をさせたり、付帯作業に料金が支払われなかったり、正当性を逸脱した行為に対して非常に厳しい目が向けられています。
行政によって、付帯作業に関する規定も次々と設けられてきており、今後は役務の内容と対価を記載した契約書面交付の義務化も予定されています。
2024年問題などの要因から、2030年には3割を超える輸送力が不足するといわれています。物流危機を回避するため、適正運賃・料金の収受をはじめ、これまでの商慣行を見直していくことがますます重要となっています。
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